武道四天王  楓、古菲、龍宮×刹那



武道四天王での修行中
「ここまでにするでござるか…」
「しかし、ま…まだ時間があるぞ」
まだ明るい空を見上げて、楓が言う。
それに少し脅えたように反応するのは刹那。


「何、直に暗くもなろう。それまでは支度でもして、時間を潰すでござる」
「薪はあるな…風呂に入りに行くか」
「それがいいアル」
三人が入浴にが賛同した為、仕方なく刹那も歩きだす。
浮かない顔で溜め息をつくと、隣を歩いていた古菲が話しかけてくる。
「一人が寂しいなら、刹那も一緒に入るといいアル」
その言葉に、過去古菲にされた湯船での情事を思い出す。
びくりと肩を震わせた刹那は、遠慮しておくと力無く呟く他無かった。
「では、刹那。拙者らはここで」
「あ、ああ…分かった、またな」
楓、古菲、龍宮の三人が大浴場の前で歩みを止める。
三人が大浴場の暖簾をくぐるのを確認してから、刹那は盛大な溜め息を一つついた。




修行は早めに切り上げ、体を清める為風呂に入る…
解散もしないということは、また私をもて遊ぶということの予告に等しいではないか…!
眉をひそめ、目を細める。
沈痛な面持ちで歩くその姿は、乙女達の暮らす寮に似合ったものではなかった。


修行中の身ではあっても、神鳴流剣士が女にもて遊ばれることは悔しい。
しかしそんなことよりも、与えられる快感の波に逆らえない自身が何より憎いのだ。
そして最近はそれに順応しつつある自身に気付いていた。
最初の内は、仕事も手伝って貰っている、多少無理矢理ではあっても、慰安夫のようなも
のだと割り切っていた。
それが最近ではどうだ、他の者が三人と同じ様なことをしていると考えると、胸が締め付
けられる感じになり、実に気分が悪くなる。情事の際の愛を囁く言葉を、嬉しいとさえ
思っているのだ。
悔しさや切なさを胸から追い払うように、自室のドアを押し開けた。



脱衣所で服を脱ぎ、バスルームに入る。
古菲とのことがあってから、湯船につかることが少なくなった気がする。
湯の張っていない湯船を見て、溜め息をつく。
ちらと見えた鏡越しの自分に、情けなく困惑する。



これが、女に抱かれた体か。
幾つか傷の伺える自分の体は、一般的に見ても優なものとは言えない。
身の丈程の刀を振り回し、幾つもの戦いを切り抜けてきた体だ。
例え体格が芳しくなくとも、女には負けない力があるとは自負している。
女と言っても仕事仲間。楓や古菲、龍宮の力は強い。
逃げ切れるとは断言できないが、痺を切らすまでの効果がある抵抗はできただろう。

それが出来なかったのは、私の心が弱いからか…。
未だ慣れぬ性の快感に、隙を見せたのが運の尽きであったのか。
三人にされたこと、一人一人にされたことを思い出して、頭の中がぐちゃぐちゃに掻き回
される。
シャワーの栓を強く捻って、暫くは冷水の流れるシャワーを呆然と眺めた。


熱くなったシャワーを、頭から思いきり被る。
どうせ抱かれるのならば、せめて念入りに身を清めておこうか。
そんな下らないことを考えながら、石鹸に手を伸ばした。


風呂から上がって、着替えを取り出す。
着替えと言っても、別の胴着であるのだが。
もし魔物が現れようとも、いつでも応戦出来るようにしている。
どんなことをされていようとも、三人は仲間なのだ。
いざというとき、守る覚悟は出来ている。

こんなに思うことがあるなど、本当にどうにかしているのではないか。
本当に、あの三人に情が移ってきているのではないか…。

興奮からなのか恐怖からなのか分からない震えが、袴の帯を結びにくくし苛立った。





刹那が修行場の山奥に着いた頃、そこに三人の姿は未だ無かった。
何分待ったかは分からないが、暫くの時間が経過してから三人は現れた。
龍宮の手には学園内に店を持つコンビニの袋が握られている。
楓の手には、薬局だろうか…よく分からない袋が握られていた。


「待たせてしまったでござるな、刹那」
「済まないな…買い物をしていたんだ」
「もう大丈夫アル…それじゃあ早速頂くアル」
「あむっ!」
古菲がくわえる様にして、刹那の舌を貪りだす。

いきなりされた刹那はともかく、古菲自身もあまり息を吸い込めないらしく、二人の呼吸
はどんどん荒くなっていく。
「はっ…ん、んぅっ、ふ…ふうへぇ…ふむぅ」
「ひゃ…なにアルふぁ、ふぇふな…」
ず、くちゅ…と粘液の音がする。
互いの舌のざらついた感触が、何とも言えない感覚に変わりゾクゾクと背を震わす。
自身の体が熱くなっていくのが分かる。
古菲の体もこんな風に熱くなっているのか、刹那は考えた。
深く自身を求めてくる接吻に、ただ無心で応えようと舌を動かす。
その度自身を襲う快感は強まり、肩に置かれた古菲の手も震える。
私は、満足させることができているのか?
心の中で問いかけて、名残を惜しむように舌を離す。



顔を離して気付いたのは、古菲の顔。
それはいつもの活発な少女の顔ではない…妖艶な女の顔に変わっていた。
楓はいつもと変わらぬ穏やかな顔、龍宮は無表情だが頬を少し紅く染めている。

その顔を見た瞬間、ぞくりと背に寒気がした。
やはりもう、この行為は快感と直結してしまったのか。
これからされようとしていること、刹那の体はそれを心待ちにしている。
それを分かっている三人に、勝てるわけが無いのだ。


クラス1の長身で刹那を見下ろす龍宮。
怯えたような刹那の顔も、彼女達の欲望を増進させていた。

「もう、興奮しているのか?」
「も、もうだと…?」
「ふふ、では…いじってやるでござるか」
龍宮の横にいた楓が、刹那の目の前にと近付く。
いつの間にか古菲は背後に回り、手を回して袴の帯をほどき始める。
忍び寄っていた楓の手が、急に素早くなる。
古菲が前の帯を解いたのと同時に、胴着の分かれ目から手を侵入させる。
その手は迷うことなく刹那の一物を掴み、絶妙な握力で握り始めた。

「や…くぅう…っ!ふぁ、んっ、かえで、やめ…」
「ふ…抵抗など、する気はないのでござろう?手を添えるだけで、人は離せないでござ
る」
一回毎に、微妙に握力を変えてくる。
刹那の全てを知り尽した楓の技は、刹那に抵抗の余地すら与えてはくれなかった。
押し離そうと楓の手に両手を添えるも、与えられる刺激により力が入らない。
いきなりの大きな刺激に抵抗したい気持ちはあるものの、その刺激によって抵抗する力を
奪われる。
そんなもどかしさをぶつけるように、楓を睨みつける。
しかし快楽や戸惑い、羞恥に顔が歪んでしまい、なんとも情けない顔で楓を見たように
なってしまう。
その顔を見た楓は、優しく微笑んだ。頬は少しだけ朱に染まり、本当に穏やかな顔をして
いる。
普通ならば、とても優しく、それでもどこか色香を感じる表情だろう。
しかし刹那は、その顔に恐怖を覚えた。
それも仕方ない。楓はその顔のまま自分をもて遊ぶのだ。
だんだんと目尻に涙が溜ってくる。
なにが原因のものかは分からない。ただ、思い当たるものが多すぎて混乱してしまいそう
だった。
「や、やめ…ご、ごめんなさっ、ゆ、許して…ううっ、ふうぅ、あぅぐ…」
「何を謝る…拙者、お主を泣かせる為にしているのではない。刹那を愛しているからこ
そ、こうして…」
はだけた胴着の首元、そこにそっと舌を這わせる。
舌の温かさ、舌が通った後から襲う涼しさ。
それよりもなにより、ぞくぞくと全身に走る大きな快感。
後ろで帯を解いていた古菲が、ふぅと耳に息を吹きかけてくる。
龍宮は、ただ頬を赤くしてこちらを見ているだけ。
どうすることも出来ない快感に、頭から空気が足りないと言われている様な錯覚さえも作
られる。
口から発される言葉は、言葉とも認め難い。
やめてくれと言おうとしても、その都度強い刺激が体を襲う。
この状況を客観的に見て、情けないなと自身を嘲笑う。
溜っていた涙が、頬を伝った。

楓の舌は、段々と下降していく。
古菲は首筋に舌を這わせ始めた。

「あ、う、うっ…はっ、はう、ぐ…あ、ああぅう…っ!」
「ん…堪えなくても、んふ…、良いではござらんか」
舌を這わせつつも、一々言葉を発していく楓。
熱い吐息にくすぐったさを感じてしまう。




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